受け継がれるジュエリー

ジュエリーには、いざというときに携帯できる財産という側面もあります。それも踏まえて、ヨーロッパなどでは何代にも渡って受け継がれるもの、という文化が発達しています。
そのためには、換金性の高い、高品質で大粒の石を選ばなければならない、というのが宝石商の売り文句でもあるのですが・・・

確かに、「困ったら売りなさい」と言って子供に渡したものがパヴェのデザインや半貴石のジュエリーであれば、著しく換金性は下がります。宝石の財産性の本質は、売りたいときに日本の景気が悪ければ、景気のいいアメリカや中国に持っていくことができる、という部分にありますから、その意味ではグローバルに評価の変わらないものを選択する必要があります。そうした目的であれば、もちろんそのためのお手伝いをいたします。

ただ、子供が成長したときに手渡したい、息子のお嫁さんに受け継ぎたい、といった思いに関しては、重要なのは財産性だけではないとも考えます。そのまま使っていただくにしても、宝石を取り外して好みのデザインにリフォームするにしても、受け継ぐ際にそれにまつわる物語を語ることができれば、そのジュエリーは他にはない精神性を獲得するはずです。私たちは、どうしてこの品を愛用していたのか、という話をお客様に語っていただけるようなジュエリーを手がけたいと願っています。

余談ですが、私は祖母のためにペンダントを作ったことがあります。気に入って、亡くなるまで愛用してもらえたようです。そのペンダントは、今は母の手元にあります。いずれ、再び手にするときがあれば、私はそれを「祖母の代から受け継がれてきたジュエリーだよ」と説明しようと思っています。